とくに




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Photograph by justin hofman, National Geographic Your Shot










・よく、歌うことを仕事にしている人たちに向かって、
 冗談として「歌うまいねぇ、歌手になれるよ」と言う。
 イラストレーターに向かっては、
 「これだけ絵がうまいなら、絵描きになれるよ」と言う。
 本職の人たちは、もちろん、余裕で、
 「なれますかねぇ」なんてことを言って笑う。
 たぶん、プロとして歌を歌ってきた人たちも、
 イラストレーションを仕事にしてきた人たちも、
 これまでに、「本職でやっていけるよ」とか、
 周囲の人たちに言われたことがあるんじゃないかな。
 そして、そうやって認められているうちに、
 「よし、プロになってやろう」なんて思うようになって、
 本気でその道を進みはじめるのではなかろうか。

 とか思って、じぶんのことを振りかえってみると、
 ありゃまぁ、おれ‥‥
 だれにも感心されたことなかったかもしれない。
 「いい文章書くねぇ、作家になれば?」ないない!
 「いいアイディアだねぇ、それで食っていけるよ」ない!
 だれに褒められていたわけでもなく、
 どこで勧められたわけでもなく、
 他に思いつくこともないままに、じぶんで、
 「コピーライターというものになれるかもしれない」と、
 勝手に決めて養成講座というものに通い始めたのだった。
 もうちょっと文章を書くことについてだとか、
 なにかアイディアを生みだすとかについて、
 才能の片鱗でも他人が感じ取っていたら、
 もうちょっと気持ちよく生きていられたかもしれない。
 「あなた、すっごく歌がうまいわね」みたいに、さ。
 でも、そういうこともなく、
 これが天職だという感覚などもちろんないままに、
 ぼくは20歳の「ただのだれかさん」として生きていた。 
 それはそれでしょうがないと思っていた。
 なんとか食えるようになれたら、それでいいか。
 なにかをあきらめていたのではなく、それで十分だった。
 やがて、講座のY先生が、ぼくのことを褒めてくれた。
 それが過分な評価であろうがなかろうが、
 ぼくは、それを信じるしかないと思った。
 そのとき、はじめて「いいね」と評価してもらえたのだ。
 それから、いろいろあって、いまに至るのである。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
つまりその、歌がうまくないけど歌手になってたという話

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by saku-saku-chika | 2017-07-16 06:06 | つぶやき