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メリー



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ブックマーク ほぼ日「今日のダーリン」糸井重里




・人生の中盤以後に、ぐっとシフトチェンジして、
 さらに力強く走り出す人がいます。
 徐々に枯れていくかと思ったら、
 新しいなにかを身につけて、
 もうひとり分の人生を生きていくような感じ。

 すぐに思いつく人として、クルム伊達公子さんがいます。
 若いころのような体力がなくなっていく年齢で、
 それまでよりも成績を上げていったのですから、
 それを奇跡のように感じる人も多かったはずです。
 でも、あれが奇跡であるはずはない。
 一試合だけ勝ったというようなことではないのですから。
 じぶんの身体か、じぶんの方法かを、
 つくりなおしてしまったのだと思うんです。
 それまでのじぶんを変えて、進化する。
 できると信じて、修練を積んでいくわけですよね。
 いやぁ、かっこいいなぁ。
 たくさんの人たちは、強くなっていること以上に、
 決意とともに変わってきたということに、
 感動したんだと思います。

 伊達さんのことは、いまは誰でも知っていますが、
 実はね、他にもいるんですよ。
 それまでのじぶんを壊してしまうほどの変化をして、
 生まれ直すようなことをしている人って。
 それが、見えにくいからわかられないんですけれど、
 一線で長い間走り続けている人たちって、
 だいたいが、そういうことをした人じゃないかなぁ。
 なぜ、じぶんの組立て直しをするのか?
 どうして、前のじぶんを壊すほど変化しようとするのか。
 それぞれに理由はあるのだと思いますが、
 ぼくなりに、乱暴に言ってしまえば、
 「そのままでいることが、怖い」からだと思うんです。
 そのまま衰弱していくには、
 人生後半の時間は、あまりにも長い。
 その長い時間をつまらなく過ごすことが、怖い。
 だったら、どれほどつらいとしても、
 大変化をしたほうがいい‥‥と思うんじゃないかなぁ。
 どうでしょう、年齢高めの読者の方々?
 ぼくにもある時期、薄くその気持ちはありました。



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・取材など受けているとき、
 慎重にことばを選んでいるわけじゃないので、
 どうしたって、口から出たまんまのことばが混じります。
 ちゃんと考えてから口に出す、というよりは、
 口に出てから「あ、そうか?」と思うことがあるのです。
 
 昨日も、「年をとって、いいことってありますか?」
 という質問に対してですね、
 「上は同窓会で会う女性から、ずっと下まで。
  いや、年上も含めてか‥‥恋愛対象が増えていきます」
 と、いかにもお調子者なことを言いました。
 実は、これ、昔々に、年長のテレビのプロデューサーが
 同窓会の翌日に、ぼくに言ったセリフがヒントです。
 しかしねぇ、ウソをついているわけじゃないけれど、
 「年をとって、いいことありますか?」
 という質問への答えが、
 「恋愛対象が増えること」って、だめでしょう。
 それに、ほんとにそう思ってるわけでもないしさ。
 政治家だったら、失言で追及されて謝罪させられるよ。
 
 もうひとつ、考えより先に口から出たことばが、
 「いまの人たちは、Q&Aが大好きですよね。
  質問があって、正解がひとつ‥‥みたいな。
  それより、Q&Q&Q&Q&でいいんですよ。
  Aはそのなかに自然に混じってるんだから」
 というものでした。
 そんなこと、はじめて言ったよ、おれ。
 でも、その通りだとじぶんでつくづく感じたから、
 こりゃ憶えておこうと思いましたね。

 質問があって、辞書に書いてあるみたいな答えなんて、
 言ってもあんまり意味はないんですよね。
 それよりは、質問が謎を呼び、謎が好奇心を掻き立て、
 好奇心が新たな疑問に衝突し、疑問が哲学に至る
 ‥‥というような、
 QからQへ転がる雪だるまみたいなことのほうが、
 豊かな問題と興味深い答えの宝庫になるんですよね。

 どっちも、口からでちゃったことばの話。
 よくもわるくも、一呼吸置いたほうがいいですよねー。
by saku-saku-chika | 2011-12-16 10:11